泣きたい夜には…~Shingo~



「あーあ、行っちゃった」


まぁ、いつものことだが。


「フッ…」


でも、ひとみらしい。


ひとみはずっとこのままでいい。


このままで…


「さぁ、夕飯の買い物に行って来るか」


疲れて帰って来るであろうひとみを温かく迎えるために。





それから1年が経ち、俺とひとみは永遠の愛を誓った。


家族や友人達が見守る中、教会で聖書の言葉を聞き、賛美歌を歌い、今まさに指輪の交換をするところ。


「慎吾…違う…左手だってば!」


ひとみが慌てて小さな声で言った。


「あ…。」


いかん、間違えた!


緊張のあまり、ひとみの右手を取っていた…。


どうにか指輪の交換も終わり、


「誓いのキスを」


神父の言葉にひとみのベールを上げた。


毎日顔を合わせているが、純白のウエディングドレスを纏ったひとみの美しさに目が離せなかった。


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