泣きたい夜には…~Shingo~



自宅マンションの駐車場に車を停めると追いかけてきたように車が入ってきた。


俺の車の隣に吸い込まれるように停められたのは白のインプレッサ。


ゆっくりと車から降りてきたのは若い女性。


世代的には同世代、落ち着いた雰囲気から案外年上なのかもしれない。


彼女とは同じマンションに住んでいながら会うのは駐車場だけ。


会うのはいつも決まってこの時間。


彼女の表情にはいつも精根尽き果てたように疲労の色が隠せない。


こんな時間までどんな仕事をしているのだろうか?


モノトーンのスーツ姿で派手な夜遊びをしているようには思えないし、キャリアウーマンやOLという感じには見えない。


何か特殊な仕事なのだろう。


名前は?


どこのフロアーに住んでいるのだろう?


初めて俺は彼女に興味を持った。



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