泣きたい夜には…~Shingo~
「こんばんは」
疲労を隠すように貼り付けた笑顔が痛々しい。
そこそこ美人だが、寄せつけない雰囲気は出会った頃から変わらない。
だから軽く会釈を返すのみ。
言葉を交わすことも親しくなることもなく、こんな関係が1年以上続いていた。
そんなある日のこと。
いつものように仕事から帰ってきた俺だったが、
「やべぇ、体調悪ぃ…」
寒気と全身倦怠感。
体の節々に感じる痛み。
最悪のコンディションだ。
「熱あるなこりゃ…」
風邪か?それともインフルエンザか?
あぁ、頭痛までしてきやがった。
「早く帰って、薬飲んで寝るかな…」
そう呟きながら車から降りると、
グラリ!
平衡感覚を失い、その場にしゃがみこんだ。
やべぇ…
動けねぇよ…
まだ季節は冬真っ只中、こんなところにいたらますます悪化する。
最悪は命の危険だってある。
車に掴まり、立ち上がろうと試みるが体に力が入らない。
.