泣きたい夜には…~Shingo~
嫉妬
4月。
年度も変わり、新入社員が入って来たりと何かと慌ただしい毎日となった。
毎年々々同じことの繰り返し。
でも、今年はそれだけではなかった。
「慎吾!?ねぇ、慎吾ってば!」
俺の隣にはひとみがいた。
あの夜…
ひとみが号泣したあの夜、
酔った勢いとはいえ、ひとみと身体を重ねた。
ひとみの中にいる向井の存在を消したくて、
もうそれだけしか頭になくて…
貪るように求め合い、眠りに就いたのは外はもう白み始めた頃。
目覚めた時にはふたりとも激しい二日酔いに襲われたが、ひとみの吹っ切れたような爽やかな笑顔を見ることができた。
「すごいよ、ここの庭!花がいっぱい咲いているよ!!!!」
休日の朝、ひとみに連れ出されて来たのは国道1号線沿いの住宅街。
「小児科病棟の師長さんが『大磯でオープンガーデンやっているから1国沿いの住宅街は花がきれいに咲いているよ』って話していたから来てみたけど、本当にきれい~!」
いつになくハイテンションのひとみにやや引き気味の俺…。
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