泣きたい夜には…~Shingo~



「そう簡単に引っかかんねーよ!!!!おっ、あっちの家の庭もすげぇ綺麗だぞ!行ってみよう!!!!」


あの日からの俺達はというと、


お互い好きという言葉もなく、付き合っているでもない。


でも、何故か俺の隣にはひとみがいて…


病院ではクールなドクターの顔で接するくせに、ふたりきりになるとゴロゴロと甘えてくるサマは、猫のようで。


恋人どころか友達でもなく…


セフレ?


いやいや、あれから何もないし…。


正直俺もよくわからない。


「慎吾、喉乾いた~!お茶しよ~!」


ひとみは前期研修を終えた。


小児科医を目指し、後期研修も小児科で頑張っている。


先週からNICU(新生児集中治療室)で赤ちゃん相手に奮闘しているようだ。


「生まれたばかりなのに、お母さんと離ればなれじゃ可哀相だよね」


なんて言いながら、涙を流す。



.

< 33 / 156 >

この作品をシェア

pagetop