泣きたい夜には…~Shingo~



そう、


ひとみは泣き虫だ。


良くも悪くも喜怒哀楽が激しい。


最初はどう扱えばいいのか戸惑うこともあったが、最近はようやく慣れてきた。


本人に言わせると、


「私が泣くのは、慎吾の前だけだもん。仕事の時は絶対泣いたりしないから」


カッコ悪いところをいっぱい見られちゃっているから作っても仕方がないでしょ?と付け加えられたが…。


要するにひとみは男として俺を見ていない。


そう言われてもまた何かやらかしそうで放っておく気にはなれなくて。


だから俺はひとみに言った。


「泣きたい夜には俺の隣に来い!」


と…


住宅街を散策後、久しぶりに箱根まで車を走らせる。


実家にいた頃は土曜の夜になるとよく箱根の山道を飛ばしたものだ。


学生時代、調子に乗りすぎて車が横転し、地球の固さを嫌というほど思い知らされたなんて痛い思い出もある


が…。



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