泣きたい夜には…~Shingo~
はぁーっ!すげー!!!!
住む世界が違いすぎる。
ビジネスパートナーなんて言っていたけれど、あの親密な様子はプライベートでもそういう関係なのだろう。
彼が相手じゃエリートドクターが束になっても敵わないはずだ。
「あーあ、振られちゃったわね!」
声のする方を見ると、
「ひとみ!」
仕事を終えたひとみが腕組みをして立っていた。
それはもう不機嫌極まりないといった表情に、何だか後ろめたいような気持ちになってきた。
ただ俺は、話をしていただけなのに。
「お前、何か誤解してない?彼女は取引先の人…それだけだよ」
何で俺、言い訳してるんだ?
「すごい綺麗な人ね。優しそうで大人の女性って感じ。
慎吾にはそういう人の方が合ってるのかも」
ひとみは冷たく言い放つと、走って行ってしまった。
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