泣きたい夜には…~Shingo~
「お、おい!!ひとみ!!!!」
追いかけたいのはやまやまだが、まだ仕事が残っている。
「後で部屋に行くからな!」
ひとみの後姿に向かって叫んだが、立ち止まることも振り返ることもなかった。
はぁーーーっ…
なんてこった…。
思わず額に手を当てる。
すぐに会社に戻ると、急いで仕事を片付け、車を飛ばした。
マンションに着いた頃には午後8時を回っていた。
駐車場にはインプレッサがある。
部屋にも明かりが点いている。
ひとみの部屋の前まで来たが、何故これほどまでに緊張するのだろう。
だがここで躊躇していても何も始まらない。
「よしっ!」
ピンポーン♪
意を決して玄関ベルを押した。
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