泣きたい夜には…～Shingo～

ひとみが後片付けをしている姿を見ながら思った。


高山さんとのことは、はっきりさせておかなければならないと。


それから、俺達のことも。

ひとみが後片付けを終えてリビングに戻ってきた。


「あのさ、さっきのことなんだけど…あの人…「知ってる…」


ひとみは俺の言葉を遮ると、


「高山ありさ、２７歳、元フィギュアスケートの女王。

現在は光南薬局勤務の管理栄養士で、この度係長に昇格。２０日付で本社に栄転…だよね？」


へっ!?


高山さんが、あの高山ありさぁ!!!?


同姓同名だとは思っていたが、本人だったとは。


知らなかった…。


「何でお前…そんなこと知ってるんだよ？」


ひとみは笑うと、


「だって、ありささんは中学、高校の先輩だし、さっき車で来た彼はフィギュアスケートで金メダルを獲った西田和磨くんで、高校の同級生。高２の時に渡米して、ハーバード大学に進学、今や大企業の会長」



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