泣きたい夜には…~Shingo~
「いやぁ、離してぇ!!!」
暴れるひとみをベッドに投げ下ろすと、
「いったぁーい!!!もっと優しく下ろしてよ!!」
頭をさすりながら、俺に鋭い眼差しを向けた。
あぁっ、もうっ!
毎度ながらややこしい奴。
近くにあったタオルを投げると、
「お前が風邪ひいて、NICUにいる赤ちゃんに感染したらまずいんじゃねぇの?
感情に流されてばかりいないで、少しはそういうことも考えてみろっての!!!!」
ひとみはハッと我に返ったような表情に変わって、
「……ごめん…なさい…ヒック…」
瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちた。
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
泣かせてしまった…。
厄介なことになる…。
俺はベッドの上で泣きじゃくるひとみの横に座り、
「泣くなよ…」
ポンポンと頭を軽く叩くと、
「ふぇ~ん」
ひとみは俺の肩に顔を埋めるようにして泣いた。
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