泣きたい夜には…~Shingo~
ひとみは俺から視線を外すように俯くと、
「嫌いじゃ…ないよ…」
小さな声で言った。
また、漠然とした答えで…。
でも、嫌いじゃない、ということは、
好きでもないということなのか。
まぁ、覚悟はしていたが、かなりキツイかも…
「嫌いじゃないから、慎吾のためにご飯作ったり、ありさ先輩に嫉妬したりするんじゃないの!」
ややキレ気味に大きな声を出したひとみ。
嫉妬?
おい、
それって…
思わず表情が緩みそうになる。
「お前、本当に素直じゃないのな?」
もう呆れるくらいに手がかかる女。
「えぇ、どうせ私は可愛くないですよ!」
そう言って顔を上げたひとみの頬に触れ、
「いや、俺は可愛いと思うけど?」
やっぱりこいつだけは放ってはおけない。
ひとみの頬は一瞬にして赤く染まり、
「もう、嘘ばっかり!!!!誰が信じると思ってるのよ!!!!?」
全くどこまで面倒な女だよ…。
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