泣きたい夜には…~Shingo~



無邪気に頷くひとみの腰に手を回し、


「そんなに欲しけりゃ協力するぜ!」


わざと意地悪く言ってみる。


「えっ…えぇぇ!!!」


驚いたひとみの顔は薄暗い部屋の中でもわかるくらい真っ赤になった。


ふっ…可愛いとこあるじゃんか。


「嘘だよ。明日も仕事だろ?続きはまた今度ってことで…寝るぞ!」


強引にひとみをベッドに引きずり込むと、


「おやすみ」


ひとみの額にそっと唇を押し当て抱き寄せた。


「おやすみ、慎吾」


ひとみは俺の胸に顔を埋め、深い眠りに落ちていった。


ひとみの寝顔を見ながら思った。


ひとみを心から安心させることのできる存在になりたい、と。


一緒にいると本当にガキで手がかかるが、そんなお前も全部ひっくるめて好きだから。



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