泣きたい夜には…~Shingo~




「帰ってきたら、駐車場であなたが倒れているんだもの、びっくりしたわ。すごい熱だったから部屋に連れて来ちゃったんだけど…

あ、寝ている間に勝手にインフルエンザの検査させてもらったわ。陰性だったから単なる風邪ね」


良かった。


「はい、熱測ってみて」


診断結果にホッとする間もなく体温計を渡された。


「キミは看護師なの?」


体温計を脇にはさみながら、

点滴といい、インフルエンザの検査キットといい、資格を持っている人間でないと扱えない代物ばかりだから敢えて聞いてみた。


彼女は一瞬の間を置いて、


「ま、そんなところ…」


そう言うと、肩を竦め、意味ありげな笑みを浮かべた。


何だかごまかされたような気がしなくもないが、今は追及する余裕なんて全くない。


ピピピピッ♪


計測終了音が鳴り、体温計を彼女に渡す。


「38.9℃か…まだ高いわね。座薬入れようか?その方が早く下がるし…」



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