泣きたい夜には…~Shingo~
出会った頃、駐車場で挨拶を交わす程度だった頃よりもひとみはきれいになったような気がする。
そういえば、こんなことを言っていた。
向井と付き合っていた頃は、自分を大人に見せようと無理ばかりしていたが、
俺と出会ってからは、背伸びしなくてもいいし、ありのままの自分を見せられるから楽なんだ、と。
ひとみを横たえると、貪るように唇を重ね合わせた。
「んっ…ふっ…」
部屋の中で聞こえるひとみの甘い吐息に、奪われていく理性。
Tシャツに手を伸ばそうとしたその時、
♪~~♪
突然ひとみのスマホが鳴った。
この音は病院から
艶を帯びていたひとみの表情がドクターモードに変わり、反射的に突き飛ばされた。
「痛ぇ…」
ひとみは厳しい表情でスマホの通話ボタンを押した。
だけど、目が、
「ごめん!慎吾」
そう訴えているのが伝わってくる。
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