泣きたい夜には…~Shingo~



薄暗い部屋の中で、ベッドに仰向けになり、天井を見つめた。


ひとりでいることが、


ひとみのいない夜がこんなに静かで寂しいなんて…


俺の中で、ひとみという存在が大きくなっている。


「ひとみ」


かなり重症だな、俺は。


時計を見ると、ひとみが出かけてからまだ1時間しか経っていない。


でも、俺には長い長い1時間に感じられた。


ガチャ!


玄関のドアが開いた。


音を立てないようにそーっと部屋に入るひとみ。


「ただいま…もう寝ちゃた?きゃっ!」


囁きながら顔を覗き込むひとみの腕を掴んで引き寄せた。


「お帰り、早かったじゃん!」


待ちわびていたなんて口が裂けても言えないが…。


ひとみは笑って、


「よくわからないんだけど、私が心肺蘇生代わった途端に心拍再開して。最近、そういうことが多くて、病棟では『浅倉マジック』なんて陰で言ってるみたいなの。

だからといって、あんまり呼び出されるのもね、邪魔されたくないし」


そう言うと、肩を竦めた。



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