泣きたい夜には…~Shingo~



俺の願いも虚しく、ひとみは眠ることなく、窓の外の景色を見てははしゃぎ、見落としがちな高速の表示板を


チェックしてくれたり、とても楽しそうだった。


ガイドブックでチェックした伊豆高原のレストランでランチをし、美術館巡りをした。


最後に訪れたテディベアミュージアムでは、


「かわいいっ!欲しいっ!」


ひとみは子供のように大はしゃぎで館内を歩き回った。


周りにいた人達は唖然として見ていたが、ひとみが大学病院で医者をやっているなんて誰も思わないだろう…。


ひと通り見た後、ガーデンテラスにあるティールームでひと休み。


「私、バナナケーキのセットにする!」


ひとみの目が一段と輝いた。


本当にガキなんだから。


でも、そんなところも可愛いと思ってしまう俺はひとみに対してかなり重症なのかもしれない。



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