泣きたい夜には…~Shingo~
え…
ざ、座薬!?
おい、座薬って、あれだろ?
物心つく前は知らないが、あそこは未知の世界。
いや、そうじゃなくて。
俺にはそういう趣味はない…。
でもなくて。
「い、いいよ…え、遠慮しとく…」
動揺を悟られまいとポーカーフェイスを装い断ってみたのだが…
いくら彼女が看護師(?)でも、いくら熱が高くても、それは俺にとっては羞恥プレイと同じこと。
後ずさりしようにも点滴に繋がれ、ベッドに横たわっている俺は抵抗しようがない…。
どうすりゃいいんだ。
そんな様子に、彼女はクスッと笑って、
「何か勘違いしてない?もしかして私がやると思ったの?もう大人なんだし、自分でするに決まってるでしょ?でも、飲み薬の方がいいかしら?」
そうだよな?
自分で入れるのは虚しいって聞いたことあるし…
いや、違う!
薬があるなら先に言えよ!
あ、もしかして…
俺、からかわれたのか?
「飲み薬、もらえる?」
癪に障ったのでそっけなく言うと、彼女は頷いて、キッチンに入って行った。
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