泣きたい夜には…~Shingo~
「小児科に行って、自分の考えの甘さを思い知らされた。あんな小さな体で一生懸命生きようとしている子供達を助けたいと思った。ううん、助けなきゃって思ったの。
ひとりでも多くの未来ある子供の命を助けること、これが私の医者としての使命だと思っている。
だから私は医者になったことを後悔していない。むしろ、なって良かったと思っているよ」
自信に満ち溢れた表情でひとみは言った。
そんなひとみを心から綺麗だと思った。
「俺もひとみが医者になって良かったと思ってる。でなかったらあの時俺は駐車場で凍死していた」
ひとみは大きく頷くと、
「そうね。だから私に感謝しなさい」
なんて、笑いながら俺に抱きついて来た。
「風呂…一緒に入るか?」
ひとみの体がビクッと震え、数秒の沈黙の後、
「うん」
戸惑うような小さな声が聞こえた。
真っ赤な顔で俯くひとみの手を取り、部屋風呂(露天風呂)に行こうとすると、
「失礼します。お夕食をお持ちしました」
仲居さんの声が聞こえた。
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