泣きたい夜には…~Shingo~



「来て良かった…」


ひとみがポツリと呟いた。


「俺もひとみと一緒に来られて良かった」


「ハプニングはあったけど、豪華料理食べられたし…ね」


俺とひとみは顔を見合わせて笑った。


花火大会が終わって部屋に戻り、しばらくふたりでまったりと過ごしていた。


やがて夜も更け、


「風呂…入るか?」


ひとみは真っ赤になって、


「し、慎吾、先に入って来て…私、後で入るから」


何でそんなに恥ずかしがるんだ?


いつもはもっとすごいことしているのに。


「わかった、先に入るぞ」


無理矢理風呂に連れて行くようなことはしたくない。


今日は色々あったがひとみと一緒に過ごせたし、これ以上望んだらバチが当たってしまう。


露天風呂に続くガラスドアを開け、石造りの露天風呂に入った。


じわじわと体が温まり、1日の疲れが抜けていくようだ。



.
< 83 / 156 >

この作品をシェア

pagetop