泣きたい夜には…~Shingo~



空を見上げると、宝石箱をひっくり返したように星が瞬いていた。


星ってこんなにきれいだったっけ?


俺は夜空に吸い込まれるように星を眺めていた。


チャポーン…


「もう、いつまで入ってるのよ!待ちくたびれちゃったじゃないの」


えっ…


星に夢中で、ひとみが入って来たことに全く気づかなかった…。


ひとみは俺の隣に座ると、


「あぁ、気持ちいい。うちにも温泉欲しいー!!!!」


さっきまでの恥じらいはどこに行ったのか、すっかり寛いでいる様子。


「お前、俺と入るの嫌じゃなかったのか?」


ひとみは首を振ると、


「嫌じゃなくて…その…今までだって一緒に入ったことなかったし、寝室と違ってお風呂って明るいでしょ?何だかその…恥ずかしくて…」


ひとみは真っ赤になって両手で頬を押さえた。

言われてみれば、一緒に入ったことはなかった。


なるほど、寝室は暗く出来るが風呂はできない。


従って明るいところで見られてしまうのが恥ずかしいということか。



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