泣きたい夜には…~Shingo~
「大丈夫?これ飲んで」
ひとみが冷たい水をグラスに淹れて持って来てくれた。
「すまない」
一口飲むと、気分の悪さが少し楽になった。
「慎吾がこんなに長風呂だなんて思わなかったわ」
ひとみは呆れ顔で俺の額に冷たい濡れタオルを乗せた。
「はぁーっ、冷たくて気持ちいい」
体の火照りが冷やされていくようでホッとする。
「ひとみ、ごめん…」
情けなくて言葉にならない。
「確かにいいお風呂できれいな星空だったけど、のぼせるまで入らなくても」
いや、そうじゃないんだ。
男の事情だということは、口が裂けても絶対言うまい…。
「何だか今日は色々なことがありすぎて、頭の中が整理しきれない」
激動の1日だったと改めて感じた。
ひとみも頷いて、
「そうだね」
そう言うと、俺の隣に横たわり、天井を見た。
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