泣きたい夜には…~Shingo~



「鼻血…また出たりして」


情けないが、動揺を隠そうとして出た言葉がこれ…。


ひとみは呆れた表情になり、


「もぉぉぉ!雰囲気ぶち壊し!でも大丈夫、私が止血してあげるから」


艶やかな色を纏った笑みを浮かべ、俺の頬にそっと触れると、誘うように指先で顔の輪郭をなぞっていった。


その感覚に言いようのない、胸の高鳴りを覚えた。


ひとみの前髪を指でかき上げ、額に唇をそっと押し当てた。


唇は額から頬に移り、ひとみの唇を避けるようにキスを繰り返した。


ひとみの唇が俺の唇を求めるように甘い吐息を洩らす。


「ここに欲しいの?」


指でひとみの唇に触れた。


小さく頷き、潤んだ瞳で俺を見つめるひとみ。


これは伝家の宝刀を抜いたも同じ。


「その目…反則」


そんなひとみに完敗した俺は頬に触れると、甘くて深いキスを落としていった。


今夜はひとみの心の傷を癒すようにゆったりと優しく愛した。


ひとみもそんな俺を優しく受け入れてくれた。



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