泣きたい夜には…~Shingo~


「良かったぁ、口に合ったみたいで…食欲もあるみたいだし、早く元気になりそうね」


いつも感じていた近寄りがたいオーラはなく、初めて見た自然な笑顔に、


ドクンッ!!!!


心臓が大きな音を立てて動いた。


彼女、こんなに可愛かったっけ…!?


これは動悸なのか?


それとも…


いや、まだ熱だって下がっていないし…


うん、きっとそうだ。


そうに決まってる。


「じゃ、お薬飲みましょうか?」


渡された薬もまた我が社のもの。


一生懸命売り込んだ薬が使われていることに嬉しさは隠せない。


そんな俺を不思議そうに見る彼女から水を受け取り、急いで薬を喉の奥へと流し込む。


同じマンションとはいえ、彼女には命を助けてもらい、食事まで…


「色々とありがとうございました。料理もとても美味しかったです。そろそろ帰ります」


これ以上甘えるわけにはいかない。


ゆっくりと起き上がってみたが、


クラッ…


ドサッ!


めまいと共に俺の体は再びベッドに沈んだ。


体が重くて言うことを聞いてくれない。


情けねぇ…



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