トモヒーとアイツの何日間
トモヒロとアイツ
それは2日前の話だ。

ピピピピピピピピピ!!

5時の目覚まし時計が鳴った。
「おはよー。」
俺は誰もいない1LDKの部屋に呼び掛ける。

台所にある磨りガラスの窓からは、オレンジの西日がさし。
自分の堕落した人生を象徴しているようだった。
夕方の17時。きっと朝の5時に起こそうと努力した目覚まし時計が、律儀に夕方の17時にも起こしにかかったのだ。

21歳で専門学校を卒業した俺は、まだ見ぬ将来に胸をときめかせて就職活動をしていた。
しかし、あの頃は2008年。
アメリカのリーマンショックの波紋は海を越え、日本の企業に大変大きな打撃を与えた。
世間で、どうなったかはさておき。
目に見える影響としては、恐竜のように滅びそうな強烈な就職氷河期だった。

ある仕事と言えば・・アダルト関係の仕事か、コンシューマーゲームのアミューズメント施設の接客。
居酒屋の店長など。
唯一自分に合いそうな会社を見つけても、エントリーシートの段階で落とされる事もざらにあり。

面接した会社が50社を越えたあたりで、いよいよ自分が何をしたいのか。
自分が社会に必要とされてる人間なのか、本気でわからなくなっていった。

あぁ。そして今。
リーマンショックから抜け出した日本を尻目に、自分はズルズルとニートをしている。
アルバイトしていた期間もあったが、100万円を貯めたあたりで一度辞め。
都内に住む両親から、月に6万円を貰って細々と生活しているのが現在だ。

今の楽しみは、散歩。
イトーヨーカドーに行く事。
そして、週一の映画鑑賞だ。
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop