クローバー的恋事情
消費者は1人ではない。大勢いるから、ニーズも様々だ。一つ一つに応えるつもりになって考えなければならない。


「サンプルはどのくらい作るのですか?」


「厳選して、3つに絞る予定だ。その中から小島社長に選んでもらう」


最終決定権は小島社長にある。買うのはフードライフコジマだから、当然だけど、改めてすごいなと思った。小島社長の一声で決まるんだ。


「納得してもらえるものが出来るといいですね」


「うん。あ、そうだ。萱森さん、これあげるよ」


「はい?」


藤沢さんのカバンの奥の方から小さい紙袋が出てきた。手のひらに収まる大きさだ。何だろう?


「開けていいですか?」


「うん。この前、実家に帰ったときに妹と雑貨屋に行ったんだよ。妹の1ヶ月遅れの誕生日プレゼントを買いに行ってね。それで、これが目に入ってさ」


目に入ったから、私に?何で?


「わっ、かわいい」


クローバーを手に持った小さなブタの置物が出てきた。ピンク色で、愛らしい顔をしている。

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