クローバー的恋事情
タクシーに揺られて20分。その店は森の中にひっそりと存在していた。

「カフェ 相の森」。半分がカフェ、半分が洋菓子販売となっている。

今日は定休日だから、打ち合わせに応じてくれた。


「いらっしゃいませ」


「おはようございます。お休みのところ、すみません」


「いいえ、どうぞお座りください」


40代後半くらいのマスターと奥さんが出迎えてくれた。


「はじめまして、田辺と申します。よろしくお願いいたします」


「私は、萱森葵と申します。よろしくお願いいたします」


私と田辺くんは名刺を渡した。


「はじめまして、相原と申します。藤沢くん、志田さんから電話を朝一にもらったよ。新入社員が二人行くからよろしくと言ってた。うん、初々しい感じかするね。ところで、君たちはうちのバウンドケーキは食べたことある?」


「いえ、すみません。まだなくて…」


「あ、私もです。すみません」


「ははっ、正直でいいね。昨日焼いたのがあるから、ちょっと待ってね」
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