クローバー的恋事情
残って書いている人は私を含めて、3人だけだった。

藤沢さんは端のテーブルで明日の予定について、松本さんと話していた。今日は、私のことを覚えているかどうか聞くことが出来なかったな。

今も無理そうだし。まだこの先、機会はあるから今日のところは帰ろう。感想を書き終えて、研修日誌をバックにしまった。


「お疲れ様でした」


藤沢さんたちの方を向いて、頭を下げる。


「ああ、お疲れ様」


藤沢さんは一瞬だけこっちを向いて、松本さんと話を続ける。

彼女がいるという話だし、やっぱり私には興味がなさそう。運命だと感じたけど、そう映画みたいな展開にはならなかった。


でも、もう少し近付きたいな。私は小会議室を出る前にもう一度藤沢さんを見た。


ドキ!


見た瞬間、藤沢さんもこっちを見たから目が合って、私の心臓は跳ねた。足が止まってしまった。

どうしよう。何か言ったらいい?


「どうしたの?何か忘れ物?」


「あ、いえ。なにも…」

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