クローバー的恋事情
ガチャ


ん?誰か入ってきた?


「葵ー、疲れたよー」


「もう、藤沢さんったら、田辺くんの真似をしないでくださいよ」


「あれ?ばれた?」


藤沢さんはたまに田辺くんの口調を真似て、田辺くんをからかっている。田辺くんは一応怒ってはいるけど、先輩相手だから強くは言えていない。

藤沢さんだけが楽しんでいる。


「分かりますよ。まず声が違いますからね」


「結構似ていると思うんだけどな」


「クスッ、微妙に違うんですよ」


田辺くんのほうが声が高いのだ。少し声を高くして真似ているけど、私は絶対藤沢さんの声を間違えない自信がある。内緒だけど。


「それであった?」


「まだ見つからなくて」


「確かここのはず…ほら、あった」


探し物は一番左端にあった。私は右端から見ていたのだ。


「あー、そっちだったんだ。もう!」


何だか悔しい気分になった。伊藤さんも最初から藤沢さんに頼んでくれたら良かったのに、藤沢さんだったら1分もしないで探し出せただろう。


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