クローバー的恋事情

たまたまこっちを見ただけで、意味はなかったようだ。

ただ少し話したいと思っただけだけど、それは言えない。変に思われる前に帰らないと。

前を向き、再び外に出ようとした時…


「葵ちゃん、待って」


日誌を書き終えた田辺くんが立つ。私は、また振り向く。


「え？なに？」


「連絡先、交換してもいい？アドレス教えて。ラインのIDでもいいし」


「あ、うん」


同期の人だし、断る理由が思い付かなかったから中に戻って、田辺くんのところに行き、バックからスマホを取り出した。


「そのストラップ、かわいいね。へー、名前入りなんだ」


田辺くんが、私のスマホに付いているストラップを触る。それは、藤沢さんからもらったクローバーのストラップだ。

自分の名前入りをつけるのに、躊躇いはあったけど、再会出来ますようにと願いを込めてつけた。

再会するという願いは叶ったけど…


「あれ？それ…」