クローバー的恋事情
「よし、戻ろう」


「はい。あ、待ってください。課長から頼まれたファイルを忘れるところでした…わっ!キャッ…」


ガシャーン…ドン!


「いたたっ…」


「葵!大丈夫か?」


ファイルが後ろの棚にあったことを思い出して、振り向いた時、下にあった箱につまずいた。つまずいただけなら良かったのだけど、そのまま倒れて、隣りの書庫に頭を打ったのだ。

痛いけど、こんな姿を見られて恥ずかしい。早く立ち上がろう。


「だ、大丈夫です」


「いや、大丈夫じゃないだろ?派手にぶつけてたよ」


そんな派手に?確かに頭はかなりズキズキしている。この辺りが特に…え?あれ?


「これ…たんこぶ?いたっ…」


「え?こぶが出来たの?マジ…見せて」


右のおでこ近くが丸く膨らんでいる。藤沢さんがそっと撫でるように触った。


「うわっ、ほんとだ。こぶが出来てるよ。冷やしたほうがいい。すぐ医務室に行こう」


医務室なんて大げさだけど、これ以上膨らんでは困る。うん、冷やした方がいい。
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