クローバー的恋事情
「クスッ、ほら、立って。医務室に行ってきなよ。これは渡しておくからさ」


「はい…」


引っ張られて立ち上がった。藤沢さんは笑いながら、先に出て行った。

え?ここで放置ですか?

優しいんだか、冷たいんだか分からない。しかし、ここに残っていてもどうにもならない。スカートに付いていたほこりをはらって、医務室に行く。

すぐに冷やしてもらったけど、たんこぶは2日くらい消えなかった。



「え?田辺くんは行かないの?」


「うん、課長と展示会の準備に行かなくちゃならなくなってさ。だから、葵に任せたよ。よろしくな」


軽井沢には田辺くんも行くと思っていたけど、得意先での展示会の準備手伝いが出来てしまった。「相の森」には藤沢さんと二人で行く。

「相の森」に出来上がったパッケージのサンプルと発注書を持っていく。もう少し早くに持っていきたかったのだが、7月、8月はお客さんが多く訪れる時期で忙しくて、打ち合わせをしていられないから、8月終わりにして欲しいと申し出があった。
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