クローバー的恋事情
企画課で作ってもらった五種類のサンプル品から選ぶのに、販売課の社員で人気投票をして決めた。「相の森」からも任されてしまったから。


「葵、切符は忘れていない?」


「大丈夫ですよ。はい、藤沢さんの分です」


「サンキュー」


軽井沢出張当日は、東京駅で待ち合わせをした。切符は私が前日に総務部からもらってきて、預かっていた。


「いえ、何か持ちましょうか?」



切符以外は藤沢さんが全部持ってくれている。


「大した荷物じゃないから大丈夫だよ。でもさ、葵のほうが荷物、多くない?それ、何入ってるの?」


「あ、これは…今日、直帰でいいんですよね?」


「ん?そうだけど?」


私は仕事用の黒のトートバッグの他に、茶色い小型のボストンバッグを持っていた。


「あの、着替えを持ってきていて…」


今日は金曜日だから、軽井沢に一泊して、明日買い物をしようと思ったのだ。
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