クローバー的恋事情
2時間も前のチェックインはさすがに無理だろう。


「聞いてみるか」


え?聞いてみる?


「本日予約している藤沢ですが」


本当に電話をした。何を言うのだろう?


「連れの者が具合悪くなってしまって、早く休ませたいと思うのですが、なんとか早めに入れないでしょうか?」


え…連れの者?私…具合なんて悪くない。とても元気で、ピンピンしている。ちょっと体の力が抜けてしまったけど。


「すいません、ありがとうございます。1時くらいに…はい、よろしくお願いします」


電話を切った後の藤沢さんの笑顔はなぜか爽やかに見えた、


「葵、行こう」


私の腰に腕を回す。


「密着してますよ?」


「葵は具合が悪いのだから、寄り添って歩かないといけないだろう?ほら、頭をここに置いて」


「こ、こうですか?」


藤沢さんにもたれて、肩に頭をのせた。
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