クローバー的恋事情
ふと駐車場に目をやったら、車に乗り込もうとしている姿が見えた。慌てて外に出る。


「待って…」


藤沢さんは私の姿に気付いたようだけど、お店の人に何かを渡して、行ってしまった。


「ああ…」


「え?今、行ってしまった人なの?」


「うん…」


絶対に目が合ったと思ったのに、行ってしまった。私には興味がなかったってことよね?縁がないってことかな?諦めたほうがいいってことなのかな?


「あの…葵さんですか?」


「はい?」


がっくりと肩を落とす私に藤沢さんを見送った店員が声をかけてきた。


「これ、藤沢さんから渡してと頼まれました。どうぞ」


さっき、藤沢さんが渡していた何かだ。でも、これって…渡された小さい袋を開けると、出てきたのはやっぱりクローバーのストラップ。もちろん「あおい」の名前入りだ。


「でも、妹さんのお土産だって…」


「理由はよく分からないけど、頼まれたので受け取ってください」

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