クローバー的恋事情
「うん、こんなとこで会うなんて偶然だね」


お兄ちゃんの後ろから藤沢さんが顔を出してきた。藤沢さんとお兄ちゃんが一緒にいるなんて驚きだ。


「ああ、渉さんの妹さんだったんだ。そういえば、目元が似てますね」


「え?幸紀と葵は知り合いだった?どこで?」


「同じ会社ですよ。はやぶさ商事」


お兄ちゃんも驚いている。本当に藤沢さんとの偶然は多い。


「同じ会社?幸紀もはやぶさだったっけ?」


「そうですよ。ついでに同じ部で、同じ課でもあります」


「え?そこまで同じ?それはまた…」


お兄ちゃんにはいろいろ話しているし、藤沢という名前も出していた。だから、噂の藤沢さんだと気付いたようだ。


「ちょっと、葵…」


同じく里沙も気付いたらしく私の腕を引っ張る。今、ここで説明は出来ない。


「葵ちゃん、大人っぽくなったよね。ねえねえ、彼氏いるの?」
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