クローバー的恋事情
運命的な恋
4月。

私は苦しい就職活動を経て、採用してもらえた商社「はやぶさ商事」の入社式に出席した。入社式を無事終えて、私たち新入社員は各部署に配属される前に研修を受ける。

そのため、小会議室に30分の休憩後、集合させられた。学生の時は、入学式が終わればすぐに帰れたものだけど、社会人になるとそうはいかない。


「失礼します」

「ここで、名前を言ってください」

「萱森葵です」


受付で名乗り、名前の書かれたプレートをもらい、着席して目の前にプレートを置いた。

「私、里中友香(さとなかゆか)と言います。よろしくね」


「私は萱森葵です。こちらこそよろしくね」


隣に座っていた同じ新入社員の人に挨拶をされて、私も返す。


「なにするか分からないから、緊張するよねー」


「うん」


里中さんは目鼻立ちがはっきりしていて、美人さんだ。仕事がてきぱき出来そう、そんな印象を受けた。私の見た目とは正反対だ。私はよく落ち着きがなさそうと言われるから。
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