クローバー的恋事情

行き場のない恋

「おはようございます」


「萱森さん、おはよう。今日は早いね」


「ふふっ、ヤル気満々なんですよ」


守衛のおじさんに片手でガッツポーズをしてみせる。入社して、１ヶ月半が経って、守衛のおじさんとは親しく話せるようになって、時々お菓子をもらったり、あげたりする間柄になった。


「さすがフレッシュマンだね。ファイト！」


「あはは、がんばります！」


60才を過ぎての再就職で守衛になったというおじさんはいつも元気が良いので、パワーを与えてもらえる。一週間、頑張るぞ！

榎本さんが明日までだから、いつもよりも気合いを入れるためにエレベーターで1人、さっきよりも大きくガッツポーズをする。気合い、入った！


「わ、おはようございます。早いですね」


「おはよう。早いのは俺だけじゃないだろ？萱森さんも早いね。目が覚めた？」