ヤンキーの隣




なぜそれを私に言うのだろうか。

意味がわからない。




倒れていた如月史也を呼んできた保険医に無事運んでもらい、私は教室にさっさと戻るつもりだった。

なのに、なぜか止められた。「待て」と。
命令口調かよクソやろう。


そしてなぜか私に話を聞いてほしいと言う。

え、この状況で?と思わずつっこみそうになった。べつに話とか後でもいいだろ。


なんてこと恐くて言えず、五分だけということなので、とりあえず椅子に座った。

すると如月史也は話始めた。




全くよくわからない話を。






「昨日は銀龍に仲間が奇襲されたんだ。」

「…………。」


まず銀龍とは何か説明をしてほしい。



「待ち伏せされてたらしい。」

「べつに待ち伏せ自体はそんなに珍しいことじゃねえ。むしろよくあることだ。だが昨日は待ち伏せされた場所に問題がある。」

「…………。」


待ち伏せよくあるのかよ。なんて物騒な世界に生きてんだよお前。漫画かよ。



「昨日うちの奴等がいた場所は普段めったにいかねぇところだ。いつも通ってる店付近での待ち伏せだったらわかるが、俺らがめったに行かねえ場所での待ち伏せってことは、むこうがあらかじめそこに行くっつー情報を知っていたことになる。昨日行った場所は極秘で幹事の奴等知らねえ。つーことは……、」

「…………。」

「仲間の中に裏切り者がいる可能性がある……」

「…………。」



ちょいちょい意味がわからない。

話すなら色々と説明を省かないで欲しい。

とりあえず私の中で要約すると、情報が漏れた→仲間の中に裏切り者がいるかもしれない、ってとこだろう。

まず、情報の漏洩に関して言えば、私みたいな完全部外者にこんなとこで詳細話しちゃってるようなとこを改めるべきだと思うよ如月くん。バカなの如月くん。



「……………。」

「……………。」

「……二宮、聞いてるか?」

「…聞いてます。」


けど、それを私に行ってどうする。


こいつは、私をどうしたいのだろう。私に何をしてほしいのだろう。

ただ話を聞いてほしいだけなのだろうか。だったら私の言葉を待っているかのような、この間はなんなんだろうか。

全くお前は私をどうしたいんだ。



「…如月くんは、(私を)どうしたいんですか?」



もう聞くしかない、若干の恐怖を抑えて口を開いた。すると、なぜか如月史也は目を見開く。

そして少し考え込んだあと、真っ直ぐ私を見て、言った。

なんだその、決意のような眼差しは。




「俺は…、


仲間を信じたい。」





「……………………。」




どうしよう。意味がわからない。

会話しろマジで。


私のそんな困惑をよそに、如月史也はなぜか一人納得した様子で、話を続ける。



「……そうだな。うだうだ考えて疑っても仕方ない。俺はあいつらを信じたいんだ、信じる以外に道はねえ」

「……………。」

「もう大丈夫だ。俺は俺のやりたいようにやる。」

「それがいいと思います。」



もう面倒なので合わせることにした。





話が一区切りついたところで、私は席をたつ。
如月史也に「じゃあ、」と言って保健室を出ようとした。



「二宮、ありがとな」

「…どういたしまして。」



なんだお礼言えるじゃねーかあの不良。

なんて思いながら私は保健室を出た。

















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