夢のような恋だった
「……何を話せばいいの?」
困って尋ねれば彼も笑う。
「ねーちゃんがどうしたいのか。あの彼氏と別れるの?」
「……彼とは別れるつもり」
草太くんが応じてさえくれれば。
でも、今日の感じを見ていたらどうなんだろう。
今までは執着心の薄いイメージだった草太くんの変化には、少なからず驚かされた。
「智にーちゃんのことどうすんだよ」
「智くんのことは……どうしようもないよ。六年前に私が振ったの。だから彼は私を避けてる」
「このままでいいの?」
「良くはないけど」
だけど、先にやることがある。
まずは草太くんとの関係を何とかしなきゃいけないし、私に近寄ろうとしない彼に対してもどうやって向かっていけばいいのかわからない。
「今度智にーちゃんのメール聞いておいてやろうか。面と会うより話しやすいんじゃない?」
「でも……」
呟いて、ひらめく。
そうだ。私達、全く繋がっていないってわけでもなかった。
私の書いたシナリオを彼は読む。
シナリオは私の他に二人の先生のものがあるから、運良く智くんが担当になるとは限らないけれど。
それでも、全く無視されることはないだろう。