夢のような恋だった

 本屋の店長に電話をし、仕事を調整してもらう。
幸い、シフト的には余裕があるらしく、少し嫌がられはしたものの三日間のお休みを確保した。

これで、食事以外の時間を机で過ごすことが出来る。

プロットを書いて、目が疲れてきたら紙ベースでキャラデザインに移行する。

新しく追加するキャラクターは女の子だ。

全貌があまり現れないキャラクターになるため、目は書き込まず髪の毛で隠す。
ふわふわした髪と神話の女神のような白のドレープのたくさんある服装。

交互に繰り返しながら、プロットがまとまった時点で導入部のシナリオ作りをする。

新しい方はやる気があるから勢い良く出来るんだけど、以前のプロットに沿ったもののほうが進みが悪い。
珈琲で気分転換をしながら、なんとか書き進める。


そうしているうちに三日が過ぎた。


途中に草太くんからの着信もあったけれど、【締め切りの近い仕事があるから数日待って欲しい】とメールだけの返事にとどめる。

怒るかしらと思ったけれど、家に押しかけてくるようなことはなかった。
その後も二回ほど着信があったけれど、出ないでいたら、しびれをきらしたようにメールが届いた。

【殴って悪かった】

それだけ書かれたメールに、【それはもういい】とだけ返事をする。
今彼が何を考えているのか、気にはなったけど追求したいとは思えなかった。



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