夢のような恋だった



【サイちゃんに教えてもらいました。この間はありがとう。たまにメールするね】


 夕方、山形さんにプロットと序盤のシナリオをメールで送ったあと、琉依ちゃんにも自分の携帯番号を添えてメールを送った。

すると数分の内に返事が来る。
さすが女子高生、早い。


【こっちこそよろしくー! 紗優ねえちゃん、お仕事どう?】


仕事のこと聞いてくるなんて、と不思議に思う。
今忙しいってこと、サイちゃんが話していたのかしら。
私は歳上なはずなのに、二人には凄く心配かけているみたい。


【ようやくキリが良くなったよ。今は編集さんの判断待ち】

【そっかよかった。彼氏来てない?】


やっぱり心配の一番の原因はこれなのだろう。
眉を寄せて覗きこんでくる琉依ちゃんの顔が浮かんで、自然に微笑んでしまう。


【来てない。でも今度会ってちゃんと話そうと思ってる】

【危ないから彩治も連れて行きなよ】

【そうだね】


曖昧に返事をしながら苦笑する。
八歳も年下の子にここまで心配されてる私ってどうなんだろう。

メールが途切れたので、気分転換にお茶でも飲もうとやかんを火にかける。
すると今度は、メールじゃなくて電話がかかってきた。

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