夢のような恋だった


「俺はハラ減ったよ。付き合ってくれるだけでもいいから」

「……ごめんなさい。だったらここで話そうよ。私の話は簡単なの。別れて欲しい、それだけ」


冷たい言い方だったかな、と思ったけれど、吐き出した言葉は戻らない。

流されて食事にも付き合うのも別に問題はないと思うけど、いちど流され出したらズルズル行きそうで嫌だった。

私の反応に、草太くんは明らかに不満な様子だ。


「俺は別れたくないって言ってるじゃん」

「どっちかが別れたいって思ってるのに、続けるなんて無理でしょう?」

「じゃあ俺の何処が嫌いになったのか言ってみろよ」


まっすぐ見つめられてたじろぐ。
面と向かってイヤなところをあげつらうなんて酷く悪いことをしている気がするんだけど。


「浮気するとこ」

「直すって。もうお持ち帰りとか絶対しない」


その発想する時点で合コンはするんだなって気もするけど。
そこは突っ込むのやめよう。


「仕事って言ってるのに家に居座るし」

「最近はやめてたじゃん」


確かに、最近は前ほど強引ではなかった。
草太くんなりに反省していてくれたのか。

草太くんは私の肩を掴むと、諭すように言う。


「悪いところは皆直すよ。紗優が昔の男にぐらついたのは俺がちゃんと捕まえてなかったからだ。反省してる。だからやり直そう」


真摯な態度で頭を下げられて、私は困り切った。

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