夢のような恋だった
唇を噛み締めていると、ふっと言葉が浮かび上がる。
「……もし再び呪われることがあっても、君がいる限り僕は救われる」
そのまま告げると、山形さんは目を見開いて食いついてきた。
「あ、それも格好いいですね。つか、そっちのほうがいいかも」
「そうですか。今いきなり思いついたんですけど」
「さすが。それ採用しましょう」
「はい」
笑顔を返しながら、心の中では泣きたくなる。
私は今、誰を思い返した?
彼がいる限り、なんて。
私にはもう望めないことだ。
他にもいくつかの修正点を詰め、とりあえず今日の打ち合わせは終了となる。
この後は出版社の方の作業になるので、私はしばらく休憩だ。
気がつけば、コーヒーも紅茶もすっかり空になっていた。
山形さんはイラストボートを全てまとめると、メガネを右手で直した。
「そういえば、次の仕事の話してませんでしたね」
「え? またお仕事いただけるんですか?」
いつもひとつのお仕事が終わったら半年は仕事が来ない。なのに、連続でくるなんてついてる。
「ええ。ちょっと変わった企画なんですけど、葉山さんならパソコンも扱うしいいかなーと思うんですが」
「パソコンを使うような仕事?」
「絵本ゲームっていうんですかね」
「電子書籍とかじゃなくて?」