夢のような恋だった
 
 その夜、メールチェックをすると山形さんからの返事が来ていた。
社内会議で了承がとれたので、今から追加変更が可能かどうかゲーム制作会社の方に問い合わせているらしい。

【変更したシナリオに合わせて、結構直さなきゃいけないものもあるからどうなるかわからないですけど、俺は新しいシナリオいいと思います。まあちょっと大人向けになった感じはしますが、今回のコンテンツは親子で見るものですから、それもありかなと】


「……良かった」


山形さん一人にでも、そう言ってもらえてほっとする。


【変更後の方をメインにシナリオを進めておいてください】


その指示に画面の前で礼をして、シナリオのデータを開いた。


変更したシナリオには、主人公と親しい少女が最初に登場する。
正体はまだ不明。
ダダを捏ねる主人公を心配して、体の中から光の玉を取り出す。

それを受け取った途端、彼はまばゆい光に包まれて、気がついたら不思議な森の中にいた。
その女の子のことは記憶から抜け落ちていて何もわからない。

周りには誰もおらず、知らない森でひとりぼっち。

< 120 / 306 >

この作品をシェア

pagetop