夢のような恋だった
「いいえ。Webで動かせる幼児向けのゲームです。イメージは動く絵本って感じですかね。
不思議の国のアリスみたいな奇抜な展開の物語がいいなって思ってるんですよ。音と映像とちょっとした仕掛けで、幼児の知的好奇心を煽るっていう感じ。ゲーム制作会社との共同事業です。うちの方はシナリオとデザインが担当。シナリオは分岐ありです。葉山さんやってみませんか?」
「はい! やります」
やったことないようなジャンルに不安はあるけど、この手の職業で躊躇していては次の仕事につながらない。
「良かった。結構力入れてる事業なんですよ。コンテンツは複数になるので、葉山さん以外の作家さんにも頼みます。そこはご了承ください。
葉山さんにとってもチャンスだと思いますよ。最近の親御さんたちはWeb関係も強いし、これで名前が知られればこれまでの本の売れ行きもまた変わってくる。絵本の方の編集作業と期間かぶるので大変かもですが」
「でも、嬉しいです。頑張ります」
なんか久しぶりに嬉しいニュースだ。頑張ろう。
「いずれゲーム制作会社の方とも顔合わせしましょうね。動きとか葉山さんと担当の方との間で話さなきゃならないこともあると思うんで。とにかく、簡単にシナリオのあらすじだけ出してみてください。会議にかけますんで」
「分かりました」
結構大きなプロジェクトみたい。
私みたいな駆け出しで大丈夫なのかしら、とも思うけど。まあ担当する作家は私だけじゃないだろうしな。
山形さんとの打ち合わせを終え、意気揚々と帰路につく。