夢のような恋だった
12
朝日が眩しい。
なんとか光を遮ろうと、半分寝てる頭で、体にかかっているタオルケットを引き上げる。
「……ん」
そのままゴロンと寝返りをうつと硬い体にぶつかった。
「えっ」
一瞬驚いて目を開けると、すぐ近くに智くんの顔がある。
……そうだった、昨日は。
思い出したら恥ずかしいのと同時に、じわじわと嬉しさがこみ上げてきた。
私の隣に、こんなに無防備な智くん。
柔らかいくせ毛の隙間から見える眉毛、閉じられた瞳。
智くんってこんなにまつ毛長かったっけ。
あ、こんなところにホクロがある。
眉毛の中にホクロを見つけて、思わず触ってしまったら、彼が眉を寄せて目を開けた。
「……紗優」
「おはよう。智くん」
「夢?」
「夢じゃないよ」
クスクス笑いながら返事をすると、それを確かめるように彼の手が髪を掬う。
「……こんな夢何度も見た」
両手を一度上に伸ばして、目の辺りに押し付ける。
「起きて夢だって分かって落ち込むんだ。そういうの、今まで何度もあったから、ちょっと今ビビった」
クスリと笑って、まじまじと見つめている私の耳たぶを触る。