夢のような恋だった
不意に彼は自嘲したように笑った。
「ゴメン。俺重いよな。かなりヤバイ部類に入りそう」
「ううん。私、嬉しいよ。だって好きな人からだもん」
ずっと私の事忘れないでいてくれたんだとしたら、私は嬉しい。
「……って、今何時?」
「えっとね。七時。智くん、お仕事は大丈夫?」
「ああ。あーそういえば昨日放って来ちゃったんだった」
いきなり落ち込みだすから心配でじっと見ていると、智くんは半身を起こしてちらりと私を見る。
「紗優は、これからどうするんだ?」
「どうって。……今日は昼からバイト。空いた時間で創作活動」
「夜は? 実家帰る?」
「どうして?」
なぜいきなり実家の話が出たのか分からず首をかしげる。
「俺、たぶん今日は夜遅くなるし。危ないから」
「遅くならない日は来てくれるの?」
「少なくとも、アイツのことがちゃんと落ち着くまでは心配だ」
智くんは憮然とした顔で言うけど、私はなんだかもう開き直っていた。
大嫌い、って言ったし。
サイちゃんが釘を指してくれたから、きっともう大丈夫だろう。
それに、今ならもう強気で来られても揺らがない自信がある。