夢のような恋だった
「安心しろよ。俺はもう紗優とヨリは戻さない。
でもお前が振ったわけじゃない。俺の方から振ったんだ。
紗優があの男と俺を二股かけるような尻軽女だったから」
「何を言ってるの?」
また勝手に話を仕立てあげてる。
自分には非がないと頑なに訴えながら。
「紗優は、茂とも付き合ってた。その証拠をとってやるよ。そしたら、この間の男はどういう顔するかな」
「え?」
その瞬間、茂くんに手首を押さえつけられる。
「ちょっ、やめて」
「……俺は紗優ちゃんが好きだったんだ。君が俺と付き合ってくれたら、こんな撮影なんかには協力しなかったのに」
「やめて。何でも私のせいにしないで」
「君のせいだよ。俺の気持ち知ってて、なのに草太と付き合うなんて」
茂くんの顔が近づいてくる。
嫌だ。
キスの写真を撮る気だ。
さっきの電話からサイちゃんが気づいてくれたとしても間に合わない。
私はぎゅっと目をつぶって、精一杯頭を振った。
腕は抑えられていても、頭と足は自由になる。
「やめて、離して」
「いいからやれよ、茂。俺が許す」
何様なの。
草太くんはいつからこんな人になっちゃったの。