夢のような恋だった
十九歳で智くんと別れてから、枯れた生活を送っていた私。
絵本の仕事も来てはいるけどなかなかうまくいかないし、売れているのかと言われれば微妙なところだ。
先のことを考えると不安ばかりが募っていた。
だから、久しぶりのそんな誘いに、何かいいことが起こるかもしれないと期待してしまったのだ。
その合コンでは、私の右に草太くん、左に茂くんという席順で座った。
草太くんと仲良くなったのは彼の方が強引だったからだろう。
どこかお父さんに似ているような気がして親近感もあったから、なんとなく他の日も会うようになり、いつしか一線も超えた。それが三ヶ月ほど前のことだ。
勝手に浮かれていたけれど、草太くんにとっては私なんてそれほど重要じゃなかったのかもしれない。
そういえば誕生日さえ聞かれたことなかった。
まあ自分自身も忘れていたから言わなかったのだけど。
そうだよ。
私なんてどうでも良かったんだ。
考えていると涙が浮かび上がってくる。
草太くんが女の子が好きなのは知ってる。
誰とでも仲がいいのも、性に関するモラルが低そうなのも分かってた。
だけど、他の人とそんなことになったら私が傷つくって思ってもらえなかったのが悲しい。