夢のような恋だった
「……琉依ちゃん、前から私に色々と相談してくれてたことがあるんです。親には言えない悩みだからって。おばさんが心配してるのはわかるけど、私も琉依ちゃんの気持ち考えたら言えません。ここは私に任せて下さい。ちゃんと後で連絡入れますから」
「何よ、それ」
おばさんは悔しそうな顔で私を見つめる。
そりゃそうだ。
心配しているのに蚊帳の外だなんて、私がその立場だったら泣けてきちゃう。
だけど、今は一刻も早く琉依ちゃんのそばに行きたかった。
説明も、謝罪も全て後でいい。
何も言わずに私はその場を後にした。
住宅街には流しのタクシーも通らない。
再び駅まで走ろうとした時、おばさんの鋭い声が玄関から響いた。
「待ちなさい。車出すわ。アパートの前まで。……そこから先は紗優ちゃんに任せる。それくらいなら私が関わってもいいでしょ?」
私は驚いて、おばさんを見つめ返した。
おばさんは車のキーと鞄をもって、おじさんに「卓は家にいて、なんかあったら連絡ちょうだい」と言い残す。
「おばさん」
「早く乗って」
「はい」
おばさんの車は三列シートのワゴンタイプの車だった。
智くんが案内するために助手席にのり、私と壱瑳くんが二列目に乗る。
壱瑳くんは乗り込むなり、携帯をいじって何かを打ち込み始めた。
私はシートに背中を預けながら、前の二人を見つめる。